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あき

昔の事なので、しばらく忘れていました。

母の加虐性に心身が傷ついた事

10歳で自殺を試みたこと

入院先でごみ箱を漁っていたこと

帰る場所がなく公園で寝ていたこと

学校を休み、知らない男性のごみ屋敷を掃除させられたこと

包丁を振り回し、部屋中を切り刻んでいたこと

自分を殴り、惨めさと、痛みで泣いていたこと

栄養失調で何年も入院していたこと

誰が信用できるのか、何がいいことで、悪いことなのか、

判断がつかない子供時代でした。

「殺したい」「死にたい」・・・・

もがき苦しんだ数年間が、私にもあります。

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この写真展の被写体になると決めてから、

自分がどん底だった時にかけられた言葉をよく思い出していました。

    

「幸せになって」

入院中に脱走して、補導員のおばさんに諭された言葉です。

その女性は、なぜか泣いていました。

私を叱りつけるように、懇願するように言いました。

「幸せになって」

「病気を治して、病院を出て、学校に行って。こんなところにいないで。

あなたくらいの年の子は、もっと笑って毎日を過ごしてるの。」

初めて、まっすぐ向き合ってもらった時間でした。

深い所で今も根を張っている言葉です。

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自尊心をもぎ取られたままでなく、

逃げて、抜け出して、生き延びて欲しい。

死んだら悔しさが残るだけ。

悲しんでくれる人を作ってから死んでも遅くないから。

あなたには生きる価値がある。

幸せになる権利がある。

10人に否定されても、1人くらいは、暖かい言葉や、優しい態度や、

知恵をお裾分けしてくれる人に出会えるもしれない。探し続けて欲しい。

少しハードだけど、気を楽に持って、宝探しだと思って生きてみて欲しい。

きっと乗り越えられるから。

わき目を振らずに必死に生きるあなたを、

笑う人も出てくるでしょう。

その時は、どうか腐らないで、

生き延びた自分を誇りに思って欲しい。

虐待されても、笑える日は来るし、

未来を今より信じられる日が来るかもしれない。

その時まで、諦めないで欲しい。

過去の事は 

憎んでもいい

許してもいい

忘れてもいい

あなたがどう感じ、何を表現しようが、自由なんです。

ただ自分の人生を生きて欲しい。

そこまで生き延びて欲しい。

幸せになってほしい。

私が救われた言葉を、あなたにも伝えたい。

虐待サバイバー写真展

親からの虐待を経験し、それでも親の手から生きのびたサバイバー達の「生きている」写真を撮っています。 これから先の道に希望が満ちていくような願いを込めて作ったサイトです。 15人の被写体の方の応募は締め切っています。この後、虐待サバイバー写真展は、書籍化、実際の写真展に向けて動き出します。