0012
春華 未来(はるか みらい)
未来へ
歩いていた
ただひたすらまっすぐに歩いていた
あの玉座につながるタイトロープの上を
わけもわからずに、命じられるまま
ただ
歩いていた
眼下には深淵の暗闇が
もしうっかりと足を滑らせてしまえば
真っ逆さまに、奈落の底へ
それがワタシの唯一の道だと
信じて
ひたすら歩いていた
はじまりの記憶は地球
どんどん大きく見えてくる碧く輝くこの惑星(ほし)を
「ああ綺麗だなあ」と思った記憶
闇のなかの、たったひとつの宝石を
たぶん月からふわりと飛び立ったワタシが
魅入られた
記憶
今となっては
それが現実なのか夢なのかはわからない
けれど
いつも思い出すのは地球
ワタシの大好きな惑星(ほし)
もしかしたらワタシは
宇宙の暗闇から生まれた生命(いのち)なのか
時々そんなことを考える
地球は、美しい
それはどんな宝石よりも
ワタシは自ら望んで
この惑星(ほし)に降り立ったの
思えばワタシの人生には
いつもアートがあった
道に迷った時には心細い夜には
姉とも慕う、SF作家の物語が
会いたい、にはじまって
色々な感情を教えてくれた
あるひとりの女優が
ワタシを支えてくれる仲間は友人は
みな本物のアーティスト
本物とは精神の垣根がなく
人を性別や年齢で判断しない
そのような者をいうのです
色鮮やかな花びらにそっと指を触れること
青く澄んだ雨上がりの空に虹に見とれること
美味しい食事に舌鼓を打つこと
わくわくしながら物語のページをめくること
一幅の絵の前で立ち止まること
華やかな舞台に感動すること
暖かな毛糸でマフラーを編むこと
友のウェディングドレス姿に涙すること
ワタシは思う
生きること全てが
アートであると!
たしかに家族には
恵まれなかったかもしれない
でも仲間には恵まれた
友だちには恵まれた
彼らがワタシの家族になり
小さく戻ってしまったワタシを
身も心も、大切に大切に
育てて
くれた
今のワタシがあるのは
血の繋がった家族などではなく
このワタシを取り巻く
優しい世界
この世界を守るためなら
惜しくはないの
このたったひとつの
生命
さえも
ワタシは戦う!
全ての悪の連鎖である
この世界を滅ぼすシステムそのものと
それが魔王の正体
敵とは魔王の手下などではなく
魔王であったと気づいたその日から
たとえ心が折れそうになっても
身体が動かなくなっても
ワタシはずっと
ずっと戦い続けてきた
そうワタシは気づいたの
そしてまた歩き出した
新たな未来を
作るために
幼いころからの音楽は確実に
今のワタシを構築している
歌うように語り
踊るように歩く
そう
舞台は、この世界全て
ワタシの名前は 春華未来
優しく美しい未来を
歌うように踊るように語りましょう
そしてもうひとりのワタシ勇者ユーリも
魔王を倒すさらなる旅へと
仲間とともに新たなる旅へと
それが『勇者ユーリの冒険 新章』
どうぞお願い
ワタシを探して
この暗闇の世界であっても
あの輝く星をたよりに
凍れる月をたよりに
きっと必ず探せるから
ワタシはここにいるから
そうこの灯りを目指して
暖かな灯りを目指して
それがたとえリアルでも
バーチャルの世界であっても
ワタシは必ずここにいるから!
きっとずっとそばにいるから!
架空の街で
桜の花びらの振りしきる中
カフェアルフェリアで待っているから
暖かな、一杯の紅茶とともに
約束しましょう
あのジャンヌダルクがごとく
けして後退せず剣をおかず
前進することを誓いましょう!
ワタシが膝をつくのは
ただアフロディーテの前にのみ
軍神マルスよ
ワタシに
ご加護を!
もうカメラの向こうの影に
怯える必要なんてないの
敵はそこにはいないから
見かえす目は
きっと優しいから
ねえ?
ワタシはちゃんと
笑えて
ますか?
いつもいつも無表情で
微笑みの仮面を貼りつけたまま
敷かれたタイトロープの上を
玉座に続く亡骸の折り重なるその道を
渡る必要なんて
もうどこにもない
くるくるまわるだけのあやつり人形は
もうどこにもいないの
もう
どこにも
存在など、しないの
ワタシはワタシの道をゆく
長い髪を風になびかせ
緑なす丘に燦然と立ち
剣を掲げてアフロディーテに誓う
あなたと
あなたの未来を
守ると
ずっとずっと守ると
約束しましょう! 必ず!
冠は、いつかわが手に
世界でたったひとりの
王の、その頭上に
Follow me!
どうかお願い!
ワタシに
ついてきてください
さあ行きましょう一緒に
遥かなる未来へ
優しく美しい未来へ
そして
その先へと!
約束するから必ず!
ずっとここにいるから
約束するから!
あなたを守るからきっと!
やくそく
するから
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