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只野 菜々子


【田中ハル 代筆】


只野さんはTwitterを見てダイレクトメールを送ってきてくれました。「私も虐待を受けてきました。お話がしたいです」と、短文で。短文ゆえか勢いというかインパクトの強さを感じました。

実際お会いすると、いただいたダイレクトメッセージの勢いとは全然違う方でした。やはり文章だけじゃ人となりは分かりません。只野さんはとても雰囲気の柔らかくて暖かい方。笑顔も素敵でした。メールを通して知った情報では壮絶な経験をなさっていて、それはどの方も同じなのだけど只野さんもまた、地獄を、深淵を見た人でした。

そしてそれを多くの人に伝えたいと自分に連絡を取ってくださいました。話を聴くだけは無理でも写真を撮るならとお会いすることになりました。

陽のあたる庭園を歩き、おしゃべりしながら「いつも通り」撮影をしました。極端な指示は出さずに「右向いてもらえますか?」「目をつむって下さい」位。あとはなすがままなので基本直立で写真に収まりました。

和やかな撮影の中でも、大人になってからの生きづらさについての話をしました。自分と同じように生きることに難儀をしていて、それでも人としてあの柔らかい空気を持っていることにちょっとした感動を覚えました。

只野さんも今、子ども時代に受けた毒を抜くために自分の過去と向き合う作業をしています。こちらのSTORYに子ども時代からの話を少しずつ書いています。ぜひ読んでみてください。苦しい作業だと思います。しかしゆっくり着々と進んでいっています。

これからの只野さんの行く先が明るいものでありますように。

虐待サバイバー写真展

親からの虐待を経験し、それでも親の手から生きのびたサバイバー達の「生きている」写真を撮っています。 これから先の道に希望が満ちていくような願いを込めて作ったサイトです。 15人の被写体の方の応募は締め切っています。この後、虐待サバイバー写真展は、書籍化、実際の写真展に向けて動き出します。