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平 和(たいら なごみ)、Junにゃん 夫妻


怖かったよ。(怖かったね)

淋しかったよ。(淋しかったね)

寒かったよ。(寒かったね)

痛かったよ。(痛かったね)

恐ろしかったよ。(恐ろしかったね)


誰に言ったら良い?(誰にも言っては駄目)

声が出ないんだ、いつも。(声にしては駄目)

誰も知らない。(誰にも知られちゃいけない)

誰にも伝わらない。(誰にも伝えてはいけない)

誰も信じてくれない。(そう。誰も信じない)

いつも独りぼっち。(誰も見てくれないから)


言葉が力を持つ。

身体が大きくなる。

力が強くなる。

圧倒的パワーバランスの崩壊。

何事もなかったかのように進む日常。

心に残された、深くて酷いキズ。

どんなに打たれても、どんなに罵られても、消える事のなかった未来。

夢は夢で終わるものだと思っていた。

夢は夢見るもので、叶わないものだと思っていた。

夢は独りで泣きながら、布団の中で思い浮かべるものだと思っていた。

乗り越え、踏み越え、耐え忍び、夢に見た看護婦さんでも、婦警さんでも、幼稚園の先生でもなかったけど、お嫁さんにはなれた。

こんな屈折しまくった、歪んだ女でも良いという物好き、否々、奇特な御仁が居た!

私の完全勝利だ。

今も、実は悩まされてはいるが、そんなの忘れていられる程、日々、忙しくて幸せだ。

ケンカもするけど、最近のケンカはそう長びかない。

何日も口をきかなかった父と母。

淋しかったんだ、母さん。

可哀想な人。

私が幸せだから言える事だね。

虐待サバイバー写真展

親からの虐待を経験し、それでも親の手から生きのびたサバイバー達の「生きている」写真を撮っています。 これから先の道に希望が満ちていくような願いを込めて作ったサイトです。 15人の被写体の方の応募は締め切っています。この後、虐待サバイバー写真展は、書籍化、実際の写真展に向けて動き出します。