0007
平 和(たいら なごみ)、Junにゃん 夫妻
怖かったよ。(怖かったね)
淋しかったよ。(淋しかったね)
寒かったよ。(寒かったね)
痛かったよ。(痛かったね)
恐ろしかったよ。(恐ろしかったね)
誰に言ったら良い?(誰にも言っては駄目)
声が出ないんだ、いつも。(声にしては駄目)
誰も知らない。(誰にも知られちゃいけない)
誰にも伝わらない。(誰にも伝えてはいけない)
誰も信じてくれない。(そう。誰も信じない)
いつも独りぼっち。(誰も見てくれないから)
言葉が力を持つ。
身体が大きくなる。
力が強くなる。
圧倒的パワーバランスの崩壊。
何事もなかったかのように進む日常。
心に残された、深くて酷いキズ。
どんなに打たれても、どんなに罵られても、消える事のなかった未来。
夢は夢で終わるものだと思っていた。
夢は夢見るもので、叶わないものだと思っていた。
夢は独りで泣きながら、布団の中で思い浮かべるものだと思っていた。
乗り越え、踏み越え、耐え忍び、夢に見た看護婦さんでも、婦警さんでも、幼稚園の先生でもなかったけど、お嫁さんにはなれた。
こんな屈折しまくった、歪んだ女でも良いという物好き、否々、奇特な御仁が居た!
私の完全勝利だ。
今も、実は悩まされてはいるが、そんなの忘れていられる程、日々、忙しくて幸せだ。
ケンカもするけど、最近のケンカはそう長びかない。
何日も口をきかなかった父と母。
淋しかったんだ、母さん。
可哀想な人。
私が幸せだから言える事だね。
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